アルコール性認知症とは?
お酒の飲み過ぎは身体に悪影響を及ぼす、ということは多くの方がご存じです。 しかし、アルコールが脳にも影響を及ぼすことは、あまり知られていないかもしれません。そのうちの1つが、多量のアルコールの接種によって起こる認知症、「アルコール性認知症」です。 注意力・記憶力の低下、感情のコントロールができないといった症状が現れます。 アルコール性認知症は、お酒をやめ、治療を受けることで回復は可能です。症状が気になる方は、一度当院にご相談ください。
多量の飲酒は脳が委縮する可能性も!?
脳は、摂取したアルコールの量に比例して萎縮すると言われています。 そして脳の萎縮により、認知機能が低下したり、脳梗塞のリスクが高まったりといったことが起こります。
アルコール性認知症の症状
- 注意力・記憶力の低下
- 感情のコントロールができない
- 歩行時のふらつき
- 手の震え
- 作話(辻褄を合わせるための無意識の作り話)
- 自分がいる場所、現在のおおよその時間が分からなくなる
どんな人がアルコール性認知症になりやすいのか
まずご高齢の方は、加齢による脳の機能低下があるため、アルコールによる影響を受けやすい、つまりアルコール性認知症になりやすいということが言えます。 特に定年退職されている方、配偶者を失くした方は、アルコールに手を出しやすい・多量摂取しやすい傾向にあります。 また、アルコール依存症とも深い関わりがあり、60歳以上のアルコール依存症の方のうち、4割以上が何らかの認知機能障害を合併しているという報告もなされています。
ご高齢の方に多いのは事実ですが、アルコールを多量摂取するのであれば、若い方にももちろん発症のリスクはあります。
アルコール性認知症の治療
断酒
まずはお酒を断つことです。
自分での断酒が難しい場合には、療養施設への入院、自助グループへの参加も検討します。
薬物療法
アルコールを求める気持ちを抑える薬、アルコールの分解を阻害し受け付けなくなる薬などを使用します。
食事療法
アルコールの多量飲酒によって、脳はビタミンB1、B2、B12、葉酸などの栄養素が不足している状態です。これらを豊富に含んだ、栄養バランスの良い食事を摂っていただきます。
生活リズム・生活スタイルの改善
夜遅くまで起きていたり、一日中自宅で時間を持て余していると、アルコールへの欲求が高まります。
早寝早起き、スポーツを始める、ボランティアに参加するといったことで、アルコールに手が伸びない、口にできない生活へと移行させていきます。
適切な量で脳萎縮・アルコール性認知症を防ぐ
1日の適切なアルコールの摂取量は、一般的に以下のように言われています。
- アルコール度数5%のビールで500ml
- ワインで180ml
- 日本酒で180ml
ただ、当然ながら個人差があります。アルコールを口にしたときに顔が赤くなりやすい人は、アセトアルデヒドが身体に残りやすく、脳の萎縮が進みやすいと言われています。萎縮した脳が元に戻ることはありませんので、そのことを自覚してアルコールの量を調節しましょう。